2025年5月、住宅ローン金利と中古マンション市場はどう動いた?
2025年5月、住宅ローンの動向に大きな変化がありました。変動金利が上昇傾向を見せた一方で、10年固定および全期間固定金利は下落という、まさに「ねじれ現象」ともいえる動きが見られたのです。この記事では、マンションリサーチ株式会社による調査結果をもとに、最新の住宅ローン金利推移と、中古マンション市場への影響を詳しくご紹介します。
変動金利がじわり上昇。その理由と今後の見通し
5月の変動金利は、前月4月の利上げの影響を受けながらも、全体的には安定した金利水準に落ち着きました。実際、DH住宅ローン指数によると、変動金利は「0.855%」で、先月の「0.828%」からやや上昇。しかし、1年前の「0.487%」と比較すると、依然として上昇基調が続いていることがわかります。
この背景には、主要銀行による金利調整があります。たとえば、SBI新生銀行やソニー銀行は利上げ後にランキングを落とし、楽天銀行は逆に利下げを実施。各社の金利競争も激しさを増しています。
一方で、米国のトランプ大統領による関税政策や円安対策など、世界経済の動向が日本の金利政策にも波及。日銀による追加利上げは当面見送られる見通しで、今後の変動金利はしばらく「レンジ内」での小幅な推移が続くと予測されています。
10年固定金利は大幅下落!国債金利との関係性とは?
これまで主力とされてきた10年固定金利は、2025年4月の「トランプ関税ショック」をきっかけに日本の10年国債利回りが急落。その結果、DH住宅ローン指数の10年固定金利は「1.722%」から「1.615%」へと大幅に下がりました。
注目したいのは、調査対象の13社全てが一斉に金利を引き下げるという珍しい現象。これは、先月に金利が上がると予想し調整したものの、実際には国債利回りが大きく下がったため、慌てて再調整したことが背景にあります。
一方、1年前の「1.259%」と比べれば依然として高水準のため、金利が今後一段と下がるかどうかは不透明。世界経済や物価、賃金の動向など複数要因をにらみながらの推移となりそうです。
全期間固定金利も下落。ミックスプランに注目集まる
全期間固定金利は、これまで「変動金利より割高」というイメージから敬遠されがちでしたが、変動金利の上昇を受けて、全期間固定金利を選ぶ人がじわり増加。ただし、それでも「変動金利派」が主流なのは変わりません。
2025年5月の全期間固定金利は「2.193%」と、前月の「2.316%」より下がったものの、1年前の「1.940%」と比較すると高止まりです。興味深いのは、フラット35が基準金利を「1.82%」にまで下げ、他の全期間固定ローンに比べてかなり魅力的な水準となった点です。
今後は、変動と固定を組み合わせた「ミックスプラン」の人気も高まるとみられます。
住宅ローン金利の動きが中古マンション市場に与えた影響
では、こうした住宅ローン金利の変動が、中古マンション市場にはどのような影響をもたらしたのでしょうか。
マンションリサーチ株式会社の調査データによれば、東京都23区の中古マンション販売状況を示す「販売日数」は横ばいで推移しましたが、「値下げ回数」が減少しています。これは、10年固定や全期間固定金利の低下により、住宅ローンの借り手の需要が相対的に高まり、売主が強気の価格設定を維持できていることを意味します。
つまり、固定金利低下=中古マンション売り手市場の継続ともいえる状況です。ただし、販売期間が延びる傾向に転じると、今後は買い手主導の交渉力が強まる可能性もあるため、今後も動向に注目です。
今後の住宅ローン金利と中古マンション市場をどう読む?
住宅ローン金利の変動は、今後も世界経済の動向や国内の物価、賃金上昇率など多くの要因に左右されます。今は固定金利派にとってチャンスの時期とも言えますが、一方で変動金利が今後急騰するリスクもゼロではありません。
中古マンション市場も、金利次第で「売り手市場」が続くのか、それとも「買い手市場」へ転換するのか分かれ道に立っています。不動産購入を検討中の方は、最新の金利動向や不動産市況の情報収集を欠かさず、タイミングを慎重に見極めることが大切です。
なお、最新の詳細なデータや今後の動きについては、マンションリサーチ株式会社の公式サイトや専門家によるセミナー情報なども参考にしてみてください。今後も金利・不動産の「ちょっと先」を読み解く記事をお届けしていきます!
